海外留学の歴を紐解いてみると
今ではある程度気軽に行なわれている海外留学ですが、日本での海外見聞の歴史はどのようになっているのでしょうか。日本では、古くから国外に出て業を学んでいました。
例えば、推古天皇の時代に聖徳太子が小野妹子を遣隋使として派遣したことがあげられます。さらに、630年には、第一次遣唐使が送られ中国との交流が盛んに行われていました。その後、江戸時代の鎖国政策で留学の道も閉ざされてしまいました。
しかし、幕末に至って幕府や諸藩により留学生の派遣が再開され、西周や伊藤博文、高橋是清らが欧米諸国に渡航したことは周知の通りです。
なかでも、西周は、オランダから帰国して、西洋哲学の紹介、啓蒙思想の普及に努め、ヘイヴン(Haven, J.)の Mental Philosophy(1857)を『心理学』として翻訳し「心理学」という語を日本に定着させました。また、「哲学」「化学」という語も日本に定着させています。
現在の留学の方法には、日本政府奨学金によるもの、外国政府奨学金によるもの、民間団体奨学金によるもの、私費によるものがあります。
海外留学の種類と意味と現況
文字どおり「留(とど)まり学ぶ」ことが留学の意味なのですが、現在では外国の学問・芸術・技術・制度などを学び取るために、ある程度長期間にわたって外国に滞在します。そして、大学などの教育機関や研究所で学んだり研究したりすることをいいます。
目的から大別すると、ひとつには、開発途上国が若いエリートを海外に派遣して、先進諸国の優れた文化を吸収する伝統的な文化吸収型のパターン。
もうひとつには、特定の国や地域の言語・芸術・社会制度などを深く研究する、民族研究的要素の強い異文化理解型です。
最近の語学留学は、上記のパターンとは少し違いますが、どちらかというと異文化理解型になるのでしょう。
医者や技術者が海外留学する場合は、優れた医療技術や専門的技術を身につける目的なので、優れた文化を吸収する伝統的な文化吸収型のパターンになるのだと思われます。
実際、グローバル化時代を迎えた今日では、伝統的な先進文化吸収型とともに、異文化理解型の留学のほうが人数的には増えているようです。